2009年06月29日

セカンドカーに最適なクルマを考える−フランスのクーペカブリオレ

セカンドカー提案の第二弾はプジョー308CCです。



ヨーロッパにおけるカブリオレ、つまりオープンカーは
日本人が想像する以上にステータスが高いと言えます。
ヨーロッパの主要都市はほとんどが内陸にあり
地形と気候の関係で完全に快晴になることは稀。
その限られた快晴の瞬間に陽光を浴びることができるのは
支配階級の特権のようなものだったのです。

地中海のリゾート地がもてはやされるのも
海岸地域特有の快晴率の高さが要因のひとつだと言えます。

つまり陽光は豊かさの象徴のひとつで
それを享受できるカブリオレはステータスの高いスタイルなのです。

プジョーは早くからカブリオレに積極的なメーカーでした。
創業期近くから積極的にカブリオレをラインナップし
206では取り扱いの面倒だった布製の幌を
CC(クーペカブリオレ)という電動ハードトップを使用した
カブリオレに発展させ、ヨーロッパ中のあらゆるメーカーに
多くの追従者を産む流行を作ります。

そのプジョー自身は206、307、そして207までの3車種で
累計65万台と言うCCを販売し、CCという分野ではトップに君臨。

実はプジョーはこのクーペカブリオレと言う
メンテ性、快適性と開放感を両立したスタイルを
すでに戦前の1935年、402エクリプスとして発表。
プジョーは電動ハードトップを
世界で初めて生産、販売した元祖なのです。

そんなプジョーから満を持して登場したのが、今回の308CC。

308とは名乗っていますがクーペカブリオレである以上
車格は明らかに1つ上に属し、それはインテリアに明らか。



オープンになった場合、インテリアはエクステリアの一部となり
衆目に晒されることとなるので、中途半端な作りこみでは
逆にイメージを悪くしかねないのです。
多くのメーカーはこのインテリアを黒系や白、ベージュ系など
無難な配色や過度なウッドパネルで、ある意味お茶を濁すことが多い。
しかし308CCでは積極的に色分けをした配色で
ラインや面を明確に、それでいてセンスよく見せつける。
同じ配色をドイツメーカーがやると、グロテスクになりがち。
このあたりはファッションに精通し、布や皮革の扱いに慣れている
フランスというお国柄が如実に出ているといってもいいでしょう。

クローズにした場合のエクステリアのまとめ方も
上手いと言うしかありません。
307CC譲りのキャビンが前方に寄ったスタイルですが
308CCはリアの大きさを感じさせないように
リアタイア上部に流れるキャラクタラインは
リアに向かう直前で大きく弧を描いて下に下がる。
このたった一本のラインが308CCを一層のエレガントにします。
その上、このキャビンが前方に寄ったスタイルにより
オープン時にハードトップが収納されていても
トランク内には大きな余裕が生まれ
サムソナイトの72cmクラススーツケースと
40cmトロリーが収まっても、まだ隙間がありそうな気配。
つまりエレガンスと実用を兼ね備えたスタイルを確立しているのです。
それでいて、けっして広いとは言えませんが
4人乗っても窮屈ではない。

プジョー308のライバルは?と考えると
フォルクスワーゲンEOSがいますが
主観的に見てエレガンスに欠けるというか地味。
ミニのコンバーティブルも
価格的に見て近い腺ではありますが
これは207CCのライバルと考えます。

では、207CCは?となると
207は2人乗りプラス手荷物置き場くらいの広さで
どちらかと言うと若過ぎる印象。
乗り味の味付けも派手な感じで
「グワァッ」ときて「スパっ」と曲がる
と言うような擬音表現がふさわしいかもしれません。

308CCの車格はどちらかと言うと
BMW120カブリオレに近いでしょう。
車両価格にして1.5倍から2倍のライバル
メルセデスSLKやBMWのZ4と
比較しても実は全く遜色がない。
クーペカブリオレとしては最先発である
プジョーが作る308CCは
オープンでの快適性、クローズでの静粛性や
全般的な実用性で一日の長があり
唯一負けている点といえば動力性能だけですが
日本では使える場所のない300馬力以上のスペックは過剰。
308CCの1.6リッターにターボという構成のほうが
合理的でインテリジェンスを感じます。
それにCO2排出量や燃費はカブリオレとして考えると
これより性能のいいものは、207CCと軽自動車以外
ほとんどいないと言っても過言ではありません。



つまりプジョー308CCはステータス性に富んだ、センスのよい
エレガントなクルマであると結論付けたいと考えます。

posted by 北森 at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月24日

電気自動車普及における新たなビジネスチャンス

6月4日にスバルからEV『プラグインステラ』、
5日に三菱自動車から『i-MiEV』という
軽自動車サイズの電気自動車が
法人利用限定ではありますが発売されました。

今後も日産自動車やその他のメーカーが
電気自動車を出してきますし
あのプリウスも年末にはコンセント充電併用の
プラグインハイブリッドというモデルを出してきます。

この流れを受けて
都営駐車場などを管理運営している
東京都道路整備保全公社は
東京都内14か所に充電設備を設置し
7月1日より運用を開始すると6月22日に発表。
この該当駐車場に駐車することで
充電の電気代は無料となっています。

でも、なんで電気を無料で充電させるのか?

電気自動車を普及させるため
と大義名分を掲げたわけではなく
電気事業者、つまり電力会社以外が電気を売ることは
法律上、非常に手続きが面倒なためなのです。

電気自動車が普及すれば
所有者、使用者の拠点、つまり家や会社での充電だけでは
絶対に不便になる場面も出てきます。
だからこそ都営駐車場などで充電用のコンセントを
新設して、それを補おうとしているわけですが
前述の法律上、無料で提供しなくてはいけない、と言うわけです。

でも、皆さんはコンビニで携帯電話の充電サービスを
ご覧になったことはありませんか?
あれも、電気を売っている、と捉えることが出来ますが
実は考え方が違います。

充電中に箱に鍵をかけることによって
携帯電話を保管しているのです。
盗難に対して安全に充電できると言う「安全」の部分で
1回100円の料金を徴収する。

そして、この自動販売機のように
飲料を買うことで充電を可能にするものも
過去には開発されていました。

自動販売機型電気自動車充電器


自動販売機型電気自動車充電器


自動販売機型電気自動車充電器
上記3枚の写真はレスポンスより転載

これに当てはめてみると
先ほどの都営駐車場も駐車場を利用すれば充電できるので
電気以外の付加価値を提供しているわけです。

コンビニエンスストアやファミリーレストランで
駐車場を併設している場合も
充電できるスペースでは1時間100円を徴収することも可能。
仮に徴収しなくても集客の呼び水にはなるでしょう。

サービスを売る、ほかの商品を売ることで充電を可能にするのは
現行の法律では電気を売ることにはならない上に
ガソリンスタンドと違って、コンセントを増やしても
許認可事業にはなりません。

もっと端的に言えば充電設備利用料と言う名目であれば
料金を徴収することは可能なわけです。

つまり、コイン駐車場やコンビニエンスストアを
経営なさっている方々にはコンセントを増設したり
急速充電器を導入なさることで施設利用料金が徴収できる。

充電だけでは大きな利益になるとは思えませんが
既存のビジネスの付加価値を上げる新しいチャンスではないか
と考えます。




posted by 北森 at 01:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月13日

セカンドカーに最適なクルマを考える−イタリア車

このご時世、メルセデスやベントレーなどのフルサイズサルーンを
ちょっとした買い物などのプライベートな用途で使うことは
世間の目を考えると躊躇されることの一つではないかと考えます。

こういったサルーンをお持ちの方は、全てを一台で済ませると言うことは
少ないと思いますが、セカンドカーが四輪駆動のSUVであったり
ステーションワゴンであったりすることが多いので
やはり衆目には非難の対象になりやすいかと存じます。

かといって、いきなりプリウスやインサイトなどのハイブリッドは
世間の時流に負けたような気がしてなりません。

と言うことでここはヨーロッパの小型車をセカンドカーにいかがかな?
という提案を今後、何回かに渡ってさせていただきます。

今回は、今年、たてつづけに発表になったフィアットグループの
スポーティーな小型車を見て行きます。

今年、たてつづけに発表されたフィアットの3台、
フィアット500アバルト、フィアット グランデプント アバルト、
そしてアルファロメオ ミト。



フィアット500アバルト



フィアット グランデプント アバルト


アルファロメオ ミト

イタリア車をセカンドカーにする場合、ポイントは一言で言うと
刺激の強さだと考えます。
刺激と言っても、ただ単に暴力的に速いとかそういったことではなく
視覚的に刺激的、官能的刺激など様々な刺激があります。
まさに、そういった色々な刺激が上手く棲み分けられているのが
今回のフィアットグループの3台と言えるでしょう。

一斉に出揃ったこの3台、寸法はフィアット500が少し小さいですが
ほぼ同じクラスだと思って間違いありません。
この3台、実は同じエンジンを積んだ兄弟車なのです。
だからこそ、その個性を明確にして
より強い濃さをそれぞれに発揮しているのです。

動力性能はフィアット500が135馬力、そのほかは150馬力と
これも横並び状態ですが、モデルの個性によって
若干の味付けの違いが与えられています。

この中で一番スパルタンでハードコア、つまり走り重視なのは
グランドプンテ アバルト。
これは休日に山あいのワインディングロードや
つくばコース1000.日光サーキットなどのショートサーキットで
ストレスを発散させるのに手ごろなサイズと足回り。
ノーマルのままで充分に楽しめますので
余計なわずらわしさや面倒臭さは皆無。
ただし街中、特に都内青山周辺や銀座界隈の
道路工事の多い場所では足回りの硬さがかなり気になります。
と、いうよりも、むしろツライ。
6速マニュアル、左ハンドル、外装は白に赤ストライプ、内装は黒。
組み合わせはこれしかありません。
性能をプラスアルファしたければ
180馬力の上級バージョン「エッセエッセ」もあります。

その逆にフィアット500アバルトは見た目重視と言ってもいいでしょう。
ノーマルの500に比べて、より丸さが強調されたフロントまわりは
より一層のキャラクター的愛嬌。
やんちゃ坊主と言ったほうがいいかもしれません。
グランデプントほどではないにせよ
やんちゃ坊主なりに走りも活発です。
そして、内装は差し色を効かせたポップな雰囲気。
ファッションの一部としてクルマを取り入れたい方には
ちょうどいい内容だと言えます。
ボディー色もかなりの種類が選べます。

そして最後はアルファロメオ ミト。
このクルマはアルファロメオから出ているということで
とにかく官能、というか感覚的に訴えるものが多く与えられています。
ミトの場合、オプションのポルトローナ・フラウの革内装を選ぶべき。
ヌメっとした手触りと絶妙の色艶、そして調度品の仕上げが
小さな高級クーペとして存分に使えるクルマとなっています。
ご夫婦でちょっとランチに、という使い方には最適。
パーキングメーターに停めてカフェのテラス席からミトを眺めると
街路樹とのマッチングが極めてよく、銀塩フィルムのカメラで
写真でも撮ってみようか、という気になります。

お読みの方々がどのような刺激を求めていらっしゃるかは
人それぞれだとは思いますが、
この3台のうちのどれかにその刺激はあるように思います。

プライベートに使うセカンドカーだからこそ
そのクルマの持つ強い刺激や濃さに酔ってみるのも
閉塞された状況を打破するカンフル剤となるように考えます。






posted by 北森 at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 試乗記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする