2009年07月12日

電気自動車時代のインフラストラクチャー

「北森さんってあんまり仕事してないようだけど、ナニで食ってるの?」
最近よく訊かれる質問です。

そこそこまじめに文筆してますよ。
多くはWEBサイトですが、雑誌もまじめにこなしてます。
ENGINEやベストカーなど自動車雑誌中心で
なおかつ元請の仕事しかしないようにしているので
掲載誌は少ないですが。

ネタは環境中心です。
この時期、軍事とか政治に詳しいと
もっと仕事が来るんでしょうけどね。

文筆以外は電気工事士と施工管理技師の免許を持っていますから
コンサルタント業務もやっており、電気とクルマの両方が
わかるということで最近は電気自動車の充電設備に関する
コンサルタントが増えてきています。

試乗車を借りに行く際、ディーラーの方から
よく相談を持ちかけられますんで、個人宅からオフィスビルまで
設計、工事手配、時には自分で施工もしたりします。

電気自動車に関しては三菱、スバルと発売を開始していますから
すでに5件くらいコンサルタントをしました。
そこでひとつ気づいたこと、それは皆さん電気を甘く見ている
ということです。

三菱もスバルも、そして来年以降トヨタのプラグインハイブリッドや
日産の電気自動車もすべて100V、200V両方の充電を用意していて
売りは家庭用コンセントから充電、ということなのですが
何を甘く見ているかというと、延長コードで引っ張れば
充電できると思っている点です。

確かに充電は出来ます。しかし今、もしくは今後出てくる電気自動車は
充電電流が15A仕様で、ドライヤーよりも多くの電流が14時間、
もしくは7時間以上流れるわけなので延長コードでは許容電流値で
役不足となり、とくにリール型延長コードの場合は
発火の危険性も出てきます。

適切なケーブルを使い、特に屋外に設置する場合は
防雨型コンセントを使用する必要があります。

適切なケーブルというのは許容電流値を
充電電流値にあわせた太さにしましょうというということです。
屋内用であればVVF-2.0mm 2C Eというケーブル
屋外であればキャプタイヤー3.5mu 2C Eというケーブルが推奨。
屋外は、これを塩ビ管か鋼管に収めて敷設する必要があります。

そしてコンセントの設置場所は電気自動車から純正のケーブルで
地面に長さ30cm以上が触れるくらいの距離が適当です。

概算すると、一般的な一軒家の庭に駐車場があるタイプで
家庭用分電盤からの距離が15m以内であれば
屋外で7万円程度、屋内で3万円程度です。

電気自動車やプラグインハイブリッドを買おうという方は
これらの予算も必ず必要となります。
すでにコンセントが駐車場にある方でも
ブレーカーを専用のものに換える必要があるので注意が必要です。
電気自動車を扱うディーラーであれば工事業者を紹介してくれます。

どうしても工事がわからないということであれば
メールをいただければ都内の読者の方に限り
無料でコンサル、業者紹介をしますのでお気軽にご相談下さい。

もうひとつの問題点は盗電、電気泥棒です。
道路から目視できる屋外設置のコンセントは、
間違いなく盗電にあうと思っていいでしょう。
特にネオンサイン用の200Vコンセントは狙われやすい。
電気というものは目に見えないため
盗む本人には「ちょっとコンセントを借りるだけ」
という意識で罪の意識が低いところに問題があります。

これから充電用に限らず、屋外用コンセントを設置しよう
という方には鍵付きのボックスにコンセントを収めるような
施工方法を提案します。

公共施設で盗電の危険性があるのが街灯です。
街灯は大きく別けて電柱に付いている共架型と
地面から生えている自立型があります。
このうち、自立型は概ね膝くらいの位置に
ブレーカーが入っている蓋があります。
ここにコンセントを設置して盗電しようという輩が
必ず出てきます。
電動アシスト自転車の出始めはこういう盗電被害が
あちこちで確認されていました。

特にオレンジ色の光を放つナトリウム灯は
200Vであることが多く、電気自動車への盗電にはうってつけ。
電気自動車が普及する前に、この自立型街灯のブレーカーの蓋を
鍵付きのものに変更するべきだと考えます。
経済的な被害だけではなく、感電、高調波、停電など
街灯からの盗電は様々な影響が出てくるので
早急に対策する必要があります。
posted by 北森 at 05:53| Comment(1) | TrackBack(2) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする