2009年07月31日

キタコレ!! 豊田自動織機に拍手

先ほどi-MiEVの記事をアップしてからも
充電インフラについて検索を続けていたら
ずっと懸念していた盗電、感電の危険性に対する解答を
唯一出してきたメーカーがあった。

その名も豊田自動織機の「倍速充電器」。

豊田自動織機

そもそも豊田自動織機という会社は
1990年代から電気自動車のインフラ開発をしてきた企業で
日産ハイパーミニという電気自動車の充電設備を設計開発した。
電気自動車の充電には実績のあるトヨタ系の企業。

実はトヨタ系の企業というよりもトヨタ自動車を含む
トヨタグループの創業者系企業。
豊田自動織機から分社したのが豊田自動車ですから
彼らは自分たちを本家、トヨタ自動車を分家と呼びます。
これは余談ですが。

今回の倍速充電器、なにが「キタコレ」なのかというと
200V充電で設計、製作されている点。

今回発表になったものは官公庁向けの製品ですが
この製品からタイマーなどを外して簡素化し
壁掛けの家庭用として10万円未満で発売すれば
家庭用充電に対する安全性は飛躍的に上がります。
それも、トヨタだけでなく三菱、日産など電気自動車を
販売する全てのディーラーで扱えば普及は加速します。

また、この製品と飲料などの自動販売機を一体デザインで
連携させれば、缶コーヒーを買って充電するという
自動車評論家の三本氏や国沢氏の主張する「自動販売機充電」も可能。
このデザインからするとパーキングメーターへの組み付けも可能かと。

交流200V充電をまともに考えている企業が存在したのもビックリですが
それが豊田自動織機という充電器業界の老舗ってところが
さすがだ、と思ったわけです。

豊田自動織機さま、どうか早い時期に家庭用充電器を発表してください。
posted by 北森 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「i-MiEV」を見てきました

昨日、自動車評論界の大御所、国沢光宏さんのお誘いで
三菱の電気自動車「i-MiEV」を見てきました。
国沢先生、本当にありがとうございます。

車の出来は非常にいいし、安全性も高いんだろうな
というのが大まかな印象。

しかしというかやはりというか
充電に関しては一考の余地アリです。

メーカーをかばって言うと
急速充電に関してはかなりがんばっているんですよ。

miev001.jpg
カタログ写真より

安全装置もバリバリです。すごく気合を入れて作ってある。
カタログ写真だとケーブルなども適切に延ばしてあるし。

急速充電システムは電気自動車普及の急務だってことは分かります。
だからこそしっかりした写真をカタログに載せるということは
電気自動車のイメージを掴みやすいし、安心してどこでも乗っていけるイメージも与えます。

しかし、一般的に一番多いだろうなと思われる家庭での充電のイメージ写真は酷い。

miev002.jpg

もう、これ見た時のがっかりといったら果てしない。
悪いことは言わない、とにかく写真を差し替えろ。
えっ、どこがそんなに酷いかって?

この部分です。

miev003.jpg

電線がとぐろを巻いている。
これで7時間も充電したら電線が熱を持っちゃう。
使用5年くらいの電線だったら火事になる可能性だって否めません。

大げさな、と思うかもしれません。でも本当です。
実験してみてください。
ドライヤーの電線を直径10cmくらいのワッカで束ねて
ターボモードで5分も回せば電線がすごく熱くなりますよ。
5mの延長コードにつなげて同じことをするともっと熱くなる。

電線を重ねて通電することにより電磁誘導という現象を起こし
電線が振動、発熱するのです。
原理は物理の時間で習った右手の法則、左手の法則です。

電気自動車はドライヤーよりも多い電流を2倍の電圧で流す。
ドンだけ熱くなるか想像できるでしょ。
電線が新しいうちは被服が熱を逃がしやすくていいんですけど、
被服が古くなると熱がこもりやすくなって
最後には発火、ということがありえます。

建築現場じゃ電気工具の延長ケーブルをとぐろのまま使って火事
なんてことはしょっちゅうだったので
今ではとぐろで使うことは禁止事項になっているくらい。

このあたり、自動車メーカーは電気を甘く見ているといわざるを得ない。
カタログなんだから「電線はしっかり延ばして使いましょう。」くらいの
キャプションを入れるくらいでないといけないですよ。


で自動車メーカーの人にこの話をすると
「電線の仕様はメーカ責任ですが、充電の使用方法はユーザー責任なんで」
ということになる。
だったら安全に利用できるようにしっかりと啓蒙しなくちゃ。

充電のコンセントについても
ユーザーが自分で工事業者を頼まなくてはいけないのに
工事の標準仕様書は皆無。唯一の注意事項は
「漏電遮断器をつけてください」だけ。

水分がつきにくいコンセントの取り付けの高さや
漏電遮断器の働かない程度の感電に関しては全く無視。

漏電遮断器が働かなくても、感電はするし
死にはしなくても火傷くらいします。
これもユーザー責任なんだからメーカーが注意喚起しないと。

さんざんメーカーの人に言ったから
「考えます」とは言ってくれたけど
どこまで考えてくれるのかは謎です。

日産の電気自動車も家庭充電に関しては
多分同じレベルだろうとは思います。

安全性もさることながら
電気自動車を一般家庭で充電することにおける
電力会社との契約にもハードルの高さを感じました。

i-MiEVの充電電流は15A。

一般的に家庭に付けられる分電盤は契約電流60Aまでで
これをフルに使っているようなご家庭だと
電気自動車の充電電流15A分を
新たに契約しなおさなくてはなりません。

60Aを越えると分電盤は汎用品から特注品になり
制作費も20万円以上となってしまいます。

事務所ビルなどすでに大電流契約しているところであれば
そんな苦労もないでしょうが、一般家庭ではハードルが高い。
2台以上所有することにもなれば契約電流は一台あたり15Aづつ増える。

電力会社も急速充電の普及ばかりに気を取られていないで
一般家庭の普通充電を真剣に考えてくれないと
電気自動車は事業用車両としてしか生きる道がなくなっちゃいますよ。

ホントの話、クルマの出来はいいのですから。
普及に際してこれからぶつかる壁は
使う人の電気に対しての意識と、電力会社の対応だと考えます。

posted by 北森 at 19:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする