それも世界最大の機械式クロノグラフムーブメント供給企業の
スウォッチグループから革命がおきたということは
いよいよ時計産業も新しい局面を迎えたのだろう
と考えることが出来よう。
スウォッチグループはこの秋
Swatch Irony Chrono Automatic Collectionと銘打って
新しいコレクションを発表した。
このコレクションの「やばい」部分は
機械式自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載しながら
日本国内税込み定価42000円という破格値であるところだ。
スウォッチグループと言えば、グループ内だけでなく
ブライトリングやタグ・ホイヤー、その他主要ブランドに
ETA7750シリーズと言うクロノグラフムーブメントを供給する
企業グループである。
その7750を使った多くの機械式自動巻きクロノグラフ搭載腕時計は
最安値の定価設定でも20万円前後、普及価格帯が40万円。
少しでも付加価値をつければすぐに70万円以上。
スウォッチグループがグループ内のブランド
ティソ向けに作ったETA C01-21というムーブメントを
廉価ファッションウォッチブランドであるスウォッチに載せ
この破格で登場させてしまったのだ。
多くの時計ブランドは「スイス製機械式クロノグラフが高価だ」
というイメージ戦略を採っているが
このスウォッチの機械式クロノグラフの登場で
スイス製機械式クロノグラフと言うだけでは
高価格な値付けが出来ない状況が作られた
と言っても過言ではあるまい。
多くの時計ブランドにとってこれは宣戦布告された
と受け取らざるを得まい。
まさに生き残りをかけた戦国の火蓋と言った印象すら受ける。
しかし、安かろう悪かろうでは
この価格破壊路線は失敗に終わるだろうが
このクロノグラフはそんな心配を嘲笑うかのように
スケルトンバックを採用しムーブメントを見せつける。
つまり機械に絶対の自信があることの表れだ。
デザインもカジュアルやフォーマルなどというカテゴライズを超越し
間違いなくオールラウンダーとして使えるほどの
豊富なバリエィションを誇る。
まさに、今買わなくてどうする
と言えるほどの時代の窮児の登場だ。