よく取りざたされるのが航続距離。
バッテリーの単価が下がり
より多く積める様になれば
航続距離が飛躍的に伸びる
と、多くの方は思っているようですが
これは間違いだといわざるを得ないでしょう。
なぜか?
今、日本で市販されている電気自動車で
もっとも航続距離が長いのは
テスラ・ロードスターでバッテリー容量53kwh
1回の満充電で400km走ることになっています。
しかし、この満充電をするための時間は
日本では3日(100V12A充電)となります。
公式発表のデータどおりなら
東京から名古屋まで走ることが出来ますが
名古屋で3日充電し、また東京へ戻ってくる。
これが現実的な利用方法だとは
とても思えません。
その上、テスラの場合
日本仕様の急速充電器は使えないのです。
急速充電器が普及したところで
充電器渋滞が起こることは必至ですし
課金問題がクリアされていないことも考慮すると
家庭充電が電気自動車の基本となることは
疑う余地もありませんが
家庭充電にはさまざまな壁があることも
否めません。
電気自動車の充電に関して
電気自動車は電気用品法という法律の
対象商品となります。
家庭充電の場合、壁に設置されたコンセントと
電気自動車を充電用のケーブルでつなぐわけですが
抜き差しできるコンセントを利用した場合
そのケーブルに流すことの出来る電流値は
15Aという数値を超えてはいけないことになっています。
例外として一度差し込んだら滅多に抜き差ししない
エアコンなどは20Aまで許容される場合がありますが
電気自動車はその頻度において、例外措置は
適用されません。
そして電力会社から供給される一般家庭用の電力は
単相3線式と呼ばれるもので100Vか200Vだけ。
ここで国産の電気自動車を考えてみると
リーフもi-Mievも200V15Aでの充電を
標準としていることがお解かりいただける
と思います。
つまり家庭用充電ではこの200V15Aが許容される
最大限の数値となるわけです。
これを1時間充電すると考えると
200V×15A×1h=3000wh=3Kwhとなります。
皆さんは家庭で充電しようと考えるとき
何時間が最適な充電時間だとお考えでしょうか?
タイマー予約が可能だとして
夜11時から朝7時までの8時間が妥当ではないかと
私は考えるのですが、いかがでしょうか。
そうすると3Kwh×8h=24Kwhとなり
リーフのバッテリー容量がこれにあてはまります。
現実的に考えて
これ以上大きなバッテリーを積んだところで
電流と電圧の法的な規制により
使いこなすことが出来ないのです。
ちなみに急速充電器を対象にした場合は
電気用品法の適用を受けるのは充電器であり
電気自動車自体に流れ込む電流と電圧の上限に
規制は受けないため、500V125Aという大きな数値で
充電できるのですが、設置費用に受変電設備まで含め
700万円ほどかかりますので
これも家庭用としては現実的ではありません。
現在の電気の法的規制によりバッテリー容量は
これ以上増やしても意味を成さないので
これからは、バッテリー単価を下げ
電気自動車自体の価格が安くなり
バッテリーの軽量化とインバーターの電気損失改善で
航続距離を伸ばしていく
という考え方にシフトしていかないと
問題の本質は見えてこないのではないか
と思います。