2011年02月24日

実はちっとも安くない電気自動車の電気代

2月1日に書いた私のブログの記事
「契約プラン別に見るEV走行用電気料金の比較 」
2月18日発売講談社BC「ベストカープラス」
ニューススコープで取り上げていただいております。

この記事の反響が大きく私のところにも
多くのメールをいただいており
そこには非常に興味深い質問も数多く
今回はその中の一つから
話を進めたいと思います。

その質問とは
電気自動車の電気代の課税はどうするのか?

私は政治家でも官僚でもありませんので
こうする、と断言できるはずもありませんが
私の考えを述べさせていただくとすれば

家庭充電は非課税、不特定多数利用の急速充電は課税

というのが解かりやすいのではないかと考えます。


家庭や事業所など200V充電で賄う場所は
電気代を自動車とそれ以外に分けにくい上に
主たる保管場所から家庭や事業所での充電の範囲で
走行するということは、生活圏内であるため
生活圏内での移動の自由を確保するべき
という考えとともに
急速充電器の混雑を緩和するためにも
非課税とするべきであろうと考えます。
事業所内で設置され事業所の車両のみに電気を供給する
急速充電器も生活圏内とみなして非課税でも
いいかもしれません。

高速道路のPAや時間貸し駐車場などに設置される
不特定多数利用の急速充電器の場合は
明らかに電気自動車のために
電気を供給する設備であり
また、利用者は通常の生活圏から
離れて行動していると考えられるので
課税対象とするべきであろうと考えます。

これは私個人の主観的見解です。
この考えを他人に押し付ける
ということではありません。
現在はまだ議論にすらなっていない
問題ですので様々な意見があることでしょう。

と、ここまで考えて気がついたのですが
現状、電気自動車に使われる電気には
ガソリン税のような税金はかけられていません。

ということはガソリン代と比較した燃費計算では
ガソリン代からガソリン税を引かなくては
正当な比較が出来ないのではないかと
考えました。

これは将来、電気自動車用の電気に
税金がかけられるようになった場合に備えて
シュミレーションをしておきたい
という気持ちの反面、
いったいどれほどの金額が
税金として課せられるのか見当もつかない
ということで、逆にガソリン代から
ガソリン税を抜いて計算してみれば
課税前状態でイーブンになるのではないかという
個人的主観に基づいた評価方法です。

現在ガソリン税は53円80銭です。
レギュラーガソリンが現在130円として
消費税とガソリン税を抜くと約70円です。

電気代の計算表には消費税は含まれていませんので
ガソリンも評価の基準として消費税抜きで計算します。

日産リーフの場合で算出
表内で特記なき数値の単位は円
ガソリン代は課税前の状態で70円/1リッターとして計算

満充電回数 月間20回の場合



利用電気プラン以前の
電気代
家庭用電力代
契約超過分
満充電時
電気代
月間走行用
電気代
走行電力
月間総合費
1kmあたりの
電気代
ガソリン代
換算燃費(km/l)
お得ナイト8200004000220.084401.68401.63.23 21.67
通常電力契約20000579.1211582.411582.44.4515.73
深夜電力契約945220.084401.65346.62.0633.98







満充電回数 月間10回の場合



利用電気プラン以前の
電気代
家庭用電力代
契約超過分
満充電時
電気代
月間走行用
電気代
走行電力
月間総合費
1kmあたりの
電気代
ガソリン代
換算燃費(km/l)
お得ナイト8200004000220.082200.86200.84.7714.68
通常電力契約20000579.125791.25791.24.4515.73
深夜電力契約945220.082200.83145.82.4228.93


項目の仔細は
2月1日に書いた私のブログの記事
「契約プラン別に見るEV走行用電気料金の比較 」
参照してください。

こうやって見るとお得ナイトの夜間電力を使っても
ちっとも安いとは思えない燃費となります。
むしろ1リッターあたり15kmだと
フォルクスワーゲン ポロTSIあたりの
実効燃費と遜色ありません。
今度出るSKY-Gデミオだと電気乗車のほうが
分が悪いことになります。

ただの数字遊びといわれる方も
いらっしゃいますでしょうが
電気自動車の電気に課税がされれば
数値としては同じものになるであろうことは
明白だと考えます。


もう一つ付け加えるならば
私は電気自動車の否定派ではありません。
肯定派、いやむしろ推進派です。
だからこそ電気料金や安全性を含めて
電気自動車の気になる点を
洗い出していきたいと考えているのです。


posted by 北森 at 22:49 | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月22日

急速充電器の種類

先日、とある企業の依頼で
電気自動車用の急速充電器の
設置に関するコンサルタントを
行いました。
企業で電気自動車を
利用するというときには
急速充電器が関心の
一つとなるようです。

一般的に急速充電器というものは
日産リーフだと30分で
電池容量の80%まで
充電できるというものです。
厳密に言うと、この性能のものは
高容量急速充電器と言い
50KVAという受電容量が
必要なものです。

高容量タイプを設置するには
一般家庭用に配電されている
単相3線式100-200Vや
動力電力として配電される
三相3線式200Vは使用できず
高圧受電の6600Vを
使用しなくてはいけません。

そのために設置する需要家が
変電設備を用意しなくては
いけないのです。
これを自家用受電といいます。

IMG_0025[1].JPG
変電設備の一例。

高容量急速充電器を設置するには
急速充電器のほかに
このような変電設備に
およそ200万円以上の
コストが必要となり
また、変電設備の保守管理に
毎年15万円ほどの
法定費用がかかります。

急速充電での電気料金は
どうかというと
基本料金は1KVAあたり
1,638円×50KVA=81900円
従量電気料金は1KWあたり
昼間で16円60銭、
夜間で9円20銭となります。
リーフの急速充電時
の最大充電量は
およそ20kwhですから
昼間料金で1日20台を
充電したとして400kwhで
6640円×30日=199200
基本料金を加算して
281100円となり
1台あたり468円50銭。
100km走って4円69銭となり
一般家庭用従量電気料金での
充電と大差ありません。

夜間も含めて1日32台を
充電したとすると
1台あたり361.81円
1kmあたり3.62円となります。

これらの膨大なコストがかかる
自家用変電設備の設置が
基本的に必要ないのが
(あくまで基本的にです)
中容量タイプといわれる
急速充電器となります。

これは動力電力として
配電される三相3線式200Vの
規格により20KVAという
受電容量で作動するため
自家用変電設備が必要ないので
急速充電器単独の設置が
可能となり
設置のコストが非常に
安価で済むことが特徴。

一般的に電力会社の
契約約款により50KVA未満は
三相3線式200Vの配電となるので
この範囲では2台の
中容量急速充電器が
設置可能となります。
難点といえば充電時間が
高容量タイプの2倍以上となり
リーフで言えば1時間あまりの
充電時間が必要となります。

現在設置されている
急速充電器には
この2タイプがあり
まとめて急速充電器と
称されているので
充電時間に注意が必要です。

そして、コストの観点から考えると
これからは中容量急速充電器が
主流になるのではないかと
考えられます。


電気料金算出の参考資料
電気需給約款[特定規模需要(高圧)]
http://www.tepco.co.jp/e-rates/custom/shiryou/yakkan/pdf/jukyuk00-j.pdf

なお、電力容量の単位は約款ではKW(キロワット)で
表示されていますがKW算出の力率計算が複雑なため、
このブログでは単純な容量単位である
KVA(キロボルトアンペア)を使用しております。



posted by 北森 at 11:41 | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月17日

見つけちゃいました、深夜電力B契約

詳細はプライバシーの問題で書きませんが
電気自動車のためだけに
深夜電力Bを契約された方を見つけました。

メールで何度かやり取りをして
契約の際の状況も伺い
契約した電力会社の受付担当にも
問い合わせをしている最中です。

昨年、私がブログで書いてから
というもの電力会社は

前例がないから
経済産業省が認可しないから
深夜電力契約は認めない

と私以外にも
様々なメディアの問い合わせに
返答していました。
しかし無いはずの前例が出てしまいました。

さぁ、この状態を電力会社と経済産業省は
どのように対応するのでしょうか。
深夜電力B契約を広く開放するしかないでしょう。

ただ、しかし、深夜電力B契約を使っても
月間走行距離500km未満であると
1kmあたりの電力料金は従量電気料金と大差ない
というお話をこの方から伺っております。
証拠となる電気代の領収書も拝見しております。

深夜電力契約をされている方の詳細は
十分な精度を持った取材をさせていただき
ご本人の了承を得てから
掲載させていただきたいと思います。


posted by 北森 at 01:16 | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月01日

契約プラン別に見るEV走行用電気料金の比較

日産リーフの場合で算出
表内で特記なき数値の単位は円



満充電回数 月間20回の場合



利用電気プラン以前の
電気代
家庭用電力代
契約超過分
満充電時
電気代
月間走行用
電気代
走行電力
月間総合費
1kmあたりの
電気代
ガソリン代
換算燃費(km/l)
お得ナイト8200004000220.084401.68401.63.23 38.68
通常電力契約20000579.1211582.411582.44.4528.06
深夜電力契約945220.084401.65346.62.0660.79







満充電回数 月間10回の場合



利用電気プラン以前の
電気代
家庭用電力代
契約超過分
満充電時
電気代
月間走行用
電気代
走行電力
月間総合費
1kmあたりの
電気代
ガソリン代
換算燃費(km/l)
お得ナイト8200004000220.082200.86200.84.7726.21
通常電力契約20000579.125791.25791.24.4528.06
深夜電力契約945220.082200.83145.82.4251.66





契約超過分の算出は「お得ナイト8」では昼間電気料金の20%増し分を計算。
深夜電力契約では3kw契約時の基本料金を計算。

満充電時電気代は「お得ナイト8」と深夜電力契約では1kw9.17円×24kwh
通常電力契約では1kw24.13円×24kwhで計算。

月間走行用電気代は満充電時電気代に
所定の回数(20回若しくは10回)を乗じたもの。

走行電力月間総合費は契約超過分と月間走行用電気代を合計したもの。

1kmあたりの電気代は満充電での走行距離(日産リーフJC08モードで200km)から
空調ロス、実走行ロスを考慮して35%減の130kmとして計算。

ガソリン代換算燃費はレギュラーガソリン1リッターあたり125円で計算

この内容に電力会社の燃料代調整費、太陽光サーチャージャーが付加されると
電気料金が若干増加する。

参考資料 東京電力株式会社 平成22年10月12日実施 電気料金約款



オール電化契約「電気上手」の場合は全季節通期計算をした場合
「おとくナイト8」とほぼ同条件となるため割愛させていただきました。




上記の表を見ていただければ解かると思いますが
契約内容によってここまで大きく電力代金が変わってしまいます。

また、電気自動車用に現段階で使える唯一の
深夜割引契約「おとくナイト8」は
昼間の電気料金の割増分を考慮すると
かえって通常電力契約での電気代金より
高くついてしまう場合があります。

深夜電力契約として表記したものは
現段階では電気自動車には適用されませんが
適用されたと仮定して計算しております。

こうやって実際の数値に表してみると
蓄熱機器に使われる深夜電力契約でなければ
メーカーや電力会社の言うところの
車両差額分を燃料費で吸収できる
という論理は成り立ちません。

一刻も早く、深夜電力契約を
電気自動車向けに適用しなくては
普及の妨げになることは
火を見るより明らかである
と言わざるを得ません。



posted by 北森 at 14:42 | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする