10年ほど前のブランド初期の頃のFOSSIL別注デジタルや
その後のキネティックを使ったオリジナルモデルの
なんかちょっと「パクリっぽくない?」というデザインのもの
そして最近の限定1個か2個の「富岳」ような
ラディカルな行き過ぎ感が漂うものなどの影響でしょうか。
実際、販売元でGSXのプロデューサー、ベスト販売の石田社長は
非常にラディカルな方であろうという印象があります。
ただ、そんなGSXというブランドの時計にも
「これはやられた」というものがありました。
GSX2003GBK ボラード
何がやられたって、永久カレンダーとスプリットセコンドクロノグラフ、
ミニッツリピーターなどという複雑機構が入っているムーブを
こんなケースに搭載してくるなんて。
このムーブ自体はシチズン製のクォーツOEMムーブで
クラシカルなケースに入れたものがシェルマンから出ています。
こういった複雑系の機構を持ったものなら
過去の意匠と複雑機構の歴史的成り立ちを背景に
どうしてもクラシカルなケースに入れたくなるものですが
ボラードは思いっきり金属の重量感を表現した
スポーツウォッチに仕上げてきた。
これはある意味、ロジェ・デュブイの
イージーダイバー トゥールビヨンと
同じ発想にあるのではないかと。
複雑系を遊び倒せというテーマがあるように思います。
ボラードの場合、クォーツですから複雑機構が入っていても
そうそう壊れませんでしょうし。
エッジの立ったケースの仕上げも
金属のカタマリ感がよく出ています。
ブレスレットも同様。
どちらかといえばラフに扱って
ケースは傷だらけにして使いたい。
それこそ、使い倒すという意味合いで、
エッジに深く切れ込んだ傷などが入ると
クラシックジッポーのような味が出てくると思います。
最近の時計はデカ厚だとか言いますが
妙に小洒落ていて傷が似合う時計が少ない中で
この時計の無骨さと中に入っている
クォーツといえど複雑系ムーブの
微妙なバランスはかなり魅力的です。
GSXの懐疑的な部分はいまだ拭えていませんが
この時計だけは疑うことなく人に勧めることが出来ます。