三菱の電気自動車「i-MiEV」を見てきました。
国沢先生、本当にありがとうございます。
車の出来は非常にいいし、安全性も高いんだろうな
というのが大まかな印象。
しかしというかやはりというか
充電に関しては一考の余地アリです。
メーカーをかばって言うと
急速充電に関してはかなりがんばっているんですよ。
カタログ写真より
安全装置もバリバリです。すごく気合を入れて作ってある。
カタログ写真だとケーブルなども適切に延ばしてあるし。
急速充電システムは電気自動車普及の急務だってことは分かります。
だからこそしっかりした写真をカタログに載せるということは
電気自動車のイメージを掴みやすいし、安心してどこでも乗っていけるイメージも与えます。
しかし、一般的に一番多いだろうなと思われる家庭での充電のイメージ写真は酷い。
もう、これ見た時のがっかりといったら果てしない。
悪いことは言わない、とにかく写真を差し替えろ。
えっ、どこがそんなに酷いかって?
この部分です。
電線がとぐろを巻いている。
これで7時間も充電したら電線が熱を持っちゃう。
使用5年くらいの電線だったら火事になる可能性だって否めません。
大げさな、と思うかもしれません。でも本当です。
実験してみてください。
ドライヤーの電線を直径10cmくらいのワッカで束ねて
ターボモードで5分も回せば電線がすごく熱くなりますよ。
5mの延長コードにつなげて同じことをするともっと熱くなる。
電線を重ねて通電することにより電磁誘導という現象を起こし
電線が振動、発熱するのです。
原理は物理の時間で習った右手の法則、左手の法則です。
電気自動車はドライヤーよりも多い電流を2倍の電圧で流す。
ドンだけ熱くなるか想像できるでしょ。
電線が新しいうちは被服が熱を逃がしやすくていいんですけど、
被服が古くなると熱がこもりやすくなって
最後には発火、ということがありえます。
建築現場じゃ電気工具の延長ケーブルをとぐろのまま使って火事
なんてことはしょっちゅうだったので
今ではとぐろで使うことは禁止事項になっているくらい。
このあたり、自動車メーカーは電気を甘く見ているといわざるを得ない。
カタログなんだから「電線はしっかり延ばして使いましょう。」くらいの
キャプションを入れるくらいでないといけないですよ。
で自動車メーカーの人にこの話をすると
「電線の仕様はメーカ責任ですが、充電の使用方法はユーザー責任なんで」
ということになる。
だったら安全に利用できるようにしっかりと啓蒙しなくちゃ。
充電のコンセントについても
ユーザーが自分で工事業者を頼まなくてはいけないのに
工事の標準仕様書は皆無。唯一の注意事項は
「漏電遮断器をつけてください」だけ。
水分がつきにくいコンセントの取り付けの高さや
漏電遮断器の働かない程度の感電に関しては全く無視。
漏電遮断器が働かなくても、感電はするし
死にはしなくても火傷くらいします。
これもユーザー責任なんだからメーカーが注意喚起しないと。
さんざんメーカーの人に言ったから
「考えます」とは言ってくれたけど
どこまで考えてくれるのかは謎です。
日産の電気自動車も家庭充電に関しては
多分同じレベルだろうとは思います。
安全性もさることながら
電気自動車を一般家庭で充電することにおける
電力会社との契約にもハードルの高さを感じました。
i-MiEVの充電電流は15A。
一般的に家庭に付けられる分電盤は契約電流60Aまでで
これをフルに使っているようなご家庭だと
電気自動車の充電電流15A分を
新たに契約しなおさなくてはなりません。
60Aを越えると分電盤は汎用品から特注品になり
制作費も20万円以上となってしまいます。
事務所ビルなどすでに大電流契約しているところであれば
そんな苦労もないでしょうが、一般家庭ではハードルが高い。
2台以上所有することにもなれば契約電流は一台あたり15Aづつ増える。
電力会社も急速充電の普及ばかりに気を取られていないで
一般家庭の普通充電を真剣に考えてくれないと
電気自動車は事業用車両としてしか生きる道がなくなっちゃいますよ。
ホントの話、クルマの出来はいいのですから。
普及に際してこれからぶつかる壁は
使う人の電気に対しての意識と、電力会社の対応だと考えます。